長徳2年(996)、紫式部は、越前国司に任ぜられた父(藤原為時)に従い、越前へ下向しました。都を離れた紫式部は、北陸路の要衝であったこの越前国府の地(福井県越前市)で、若かりし頃の1年余りを過ごし、後に『源氏物語』を著しています。
この縁により、昭和63年から越前市で開催されております「源氏物語アカデミー」も、今年で34回目を迎えることとなりました。おかげさまで、毎年、全国から多くの皆様方がこの地に集い、古典文学を学び合う場として定着いたしております。第34回目の今年のテーマは「源氏物語と殿舎(でんしゃ)」。このテーマに沿いながら、『源氏物語』に登場する大宮人たちの日々の営みの舞台について、各講師の先生方にあらゆる側面から解き明かしていただきます。
また、来年の大河ドラマが紫式部を主人公にした「光る君へ」に決定したことを記念し、特別講演として「紫式部と『源氏物語』」と題して高木和子先生にお話しいただきます。また、これは来春の北陸新幹線・越前たけふ駅の開業を祝し越前市と協力して広く市民の皆様にも一般公開講座として実施されます。
その他、武生公会堂記念の紫式部・源氏物語関連企画展、平安時代の食を感じていただける「紫きぶ御膳」も市内料亭にてご用意いたしておりますので、どうぞお楽しみください。
なお、最終日には源氏物語第三十四帖「若菜上」にも登場する蹴鞠の実演を蹴鞠保存会の会員のみなさまによりご披露いただきます。それでは『源氏物語』を理解する上で欠くことのできない「殿舎」をテーマに、今年もまた、皆様を感動の世界へ誘う3日間が整いました。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
令和五年 八月吉日
源氏物語アカデミー委員会